我が園のぶどう達
ブドウ園で栽培中のぶどうの品種と栽培法などについて、経験と見聞きした内容とをまとめていきます。(現在進行形です)

ブドウ園全景。山が迫った畑にあるため、コガネムシの襲来に悩まされています。成虫は葉を食い荒らし放題。悪戦苦闘中です。味方は葉の上で待ちかまえるアマガエル。
防虫剤を散布するとアマガエルを殺してしまうし、アマガエルだけでは、コガネムシを防げないし悩まされています。


6筋の棚に図のように
   マスカット・ベリーA  3本
   ピオーネ        5本
   巨峰           1本
   藤稔           1本    
   以上の計      10本を栽培しています。


栽培中のぶどう

マスカット・ベリーA 1927年に新潟県の川上善兵衛氏がベリーとマスカットハンブルグの交配し、選抜された品種です。

ベリーAの花
例年5月の末に咲きます。白いおしべ、めしべが小さくかわいい花をつけます。

まだ小さい果穂。
先端の一部を残し後はすべて剪定で切り落とします。この段階で、大胆に切り落とせば大きな粒に育ちましが、つい可哀相と残すと、粒が小さく混み入った房になります。

袋掛け前のベリーA
丸い果粒が特徴。

袋掛けしたベリーAが連なっています。

巨峰 昭和12年に静岡県の大井上康氏がアメリカ系の石原早生にヨーロッパ系のセンテニアルを交配し、育成した品種です。収穫時期は8月中旬から下旬。
我がぶどう園で最も早く成熟し、食べられるようになる品種です。
春4月。暖かくなると、一斉に芽吹いた枝のうち、一本を残し、後は取り除き伸ばしていきます。そのひとつの枝に、一つの房を付けさせます。 袋かけ前の巨峰 黒光りした収穫ほやほやの巨峰

ピオーネ 静岡県の井川秀雄氏が巨峰とアノンホール・マスカットを交配させ開発。収穫時期は巨峰より、十日ほど遅く、8月下旬から9月上旬。
名前は英語で言えば、Pioneer(開拓者)で新しく開発されたブドウとして命名された。この言葉のイタリア語の読みから「ピオーネ」となったとか。
色づき始めたピオーネ

藤稔大粒(最大はピンポン玉大)で暗紫黒色。果皮と果肉が剥がれやすい 神奈川県の青木氏が1978年にピオーネと井川682号とを交配させてつくる。
巨峰より大粒で、水分豊富。みずみずしい食感がするやわらかいぶどう。
袋掛け前の藤稔:独特の縦長の果粒 色づき始めた藤稔

ぶどう栽培作業項目の説明

芽欠き 芽の成長を残した芽に集中させるために、一枝に1〜2芽を残し他の芽を取ってしまう作業。芽を多く欠くほど残った新梢はよく伸びる。反対に芽欠きが少ないほど、養分は分散してしまうので、伸びは小さくなる。誘引作業で枝を折ってしまったときに備えて、予備の芽を残すようにしている。
強い新梢を抑え、新梢の揃いを良くする。
1結果母枝に1本新梢(結果枝)とする。
誘引 ビニールシートのなかで折り重なって葉が密集し、太陽エネルギーを100%利用できないようでは、困る。葉に注がれる太陽エネルギーをなるべく多く受け止めさせるために葉を隙間のないように配置する作業が誘引である。展葉が7〜8枚の早い時期からテープナーで固定している。まだまだ根元の発生部が柔らかいので両手で根元を固定しながらの作業となる。捻枝と組み合わせての作業となる。テープナーで強引に誘引すると、その箇所で枝が捻れてしまい、先に養分が行きにくくなる。紐で緩やかなRで曲げての誘引の方が無理をかけずに良いという(K氏談)。来年はこれを試してみよう。

開花までに強い新梢から巻ずるを処理しながら主枝に直角になるように誘引し、花穂の発育を促す。
捻枝 誘引の為の、事前作業。枝の節間(第3節以降)で捻り、枝の伸びる方向を調整する作業。両手でしないと、折れてしまう。捻枝が簡単なので多用してしまうが、捻った箇所から先に、養分が行きにくくなるので、あまり早い段階から捻枝する事は良くないらしい。出来れば、早い段階では、紐で引っ張るなどして枝の養脈を傷つけることなく、曲げた方が良い。
摘穂・摘房 果房の大きさをニーズにあったものにするために、一枝当たりの果房数を制限してしまうこと。我が園では、一枝当たりの果房数を全ての品種で1房に制限している。弱い枝は全て果房を除く。
花穂の間引き ジベレリン処理前に行う間引きで、長さ7から8cm(13段の花穂、手の甲の幅を目安に切りそろえている)になるように、副穂から7段くらいと、房先を少し切り落とすこと。
ベリ−Aは先端を切り落としても良いが、ピオーネ、巨峰、などは先端を切り落とさない方がよいとのこと。(k氏談)
摘心 先端のまだ展開していない葉を指先でつみ取る(メクラ摘心)。ただし、摘心後も本葉14〜15枚を確保する。
時期   :開花前7〜5日
目的   :花振るいの抑制(結果性を高める)
対象   :強い新梢(結果枝)
ジベレリン処理 花の咲く10日前後、2回実施する。花の咲く10日前を判断するのが難しいが、花穂の状態で判断するしかない。1回目は、種無しにするのを主な目的にするのに対し、2回目の働きは、果実の肥大化促進にあるようだ。
花穂の切り込み



害虫

コウモリガ
山の木々や田畑周辺の雑草(ヨモギなど)から飛来し、結果枝や主幹の根本の木の中心にまで入り込んで養分を取り込んでしまう(6月から8月にかけての食い入れが多い)ので、木を枯らしてしまう。我がブドウ園でも、知らず知らずのうちに主幹の根本を食い荒らされて、気づいたときには手遅れという苦い思いを経験している。木屑と糞で覆った箇所を発見したら、即それを取り除き食入り口が現れたら、殺虫剤(100倍スミチオン乳剤)を注入する。あとの食い入り口は「樹木の友」を塗っておく。
特に、根本の食い入れは発見が遅れると被害が大きく惨めなので、根本の草刈りを行った後、地面から40〜50cm高さまでの主幹に、ガットサイドS1.5倍液を塗布する。
−−−−−   一部、「草生栽培で生かすブドウの早仕立て新短梢栽培」小川孝郎著 を参照させていただきました

コガネムシ
6月頃から、収穫頃まで、葉をひたすら食い荒らしてしまう。気が付いたら取って、頭を剪定バサミで頭をはねているが、追いつかない。
コガネムシに効く殺虫剤には、ディプテレックス水溶剤(劇物)1000倍が良いらしいが、まだ試したことはない。

コクトウ病


top 練習日誌 記録集 maranic ぶどう栽培日誌 link